猛暑を乗り越えて、持続可能な仕事づくりを進めるために
残暑お見舞い申し上げます。
東京では8月上旬に暑さがいったん和らいだものの、お盆明けにはまた猛暑が復活。連日、35度を超える危険な暑さが続いています。
猛暑は屋外で働く人に大きな影響を与えています。ビッグイシューの販売者も例外ではありません。
ビッグイシュー日本版は、ホームレス状態の人に住所や住民票がなくてもできる仕事を提供するため、2003年9月に創刊されました。現在は月2回発行で、今年の3月までの22年半の間に、計523号を発行。総計1031万冊を販売し、販売者に17億429万円を提供することができました。
しかし、気候変動の影響により年々、夏の暑さは厳しさを増しており、路上で雑誌を販売するビッグイシューの販売者にとっても大きな脅威となっています。近年はSNSなどで「真夏に路上に立ち続けて大丈夫なのか」と販売者を心配する声も多数寄せられるようになっています。
ビッグイシュー日本では、毎年、熱中症の勉強会、飲料や塩飴・食料・日傘や冷却スプレーなど暑さ対策グッズの提供、一時宿泊ができるシェルターの開放、日陰の販売場所への移動、空調服の無償貸与、休憩場所提案など、さまざまなサポートをしてきました。

空調服を着用するビッグイシュー販売者
また、雑誌の販売時間に決まりはないため、猛暑の時期は比較的涼しい朝夕だけ販売する人も少なくありません。
しかし、販売時間が短くなれば収入も減ってしまいます。そこで今年の夏は販売者が安心して休めるよう、更なる取り組みを進めることになりました。コンセプトは「酷暑日には安心して休める」仕組み作りです。
具体的には7月15日から9月14日までの期間限定で雑誌の仕入れ価格を250円から200円に引き下げることにしました。
通常、販売者は250円で雑誌を仕入れた雑誌を500円で販売するため、1冊あたりの収益は250円になっているのですが、仕入れ価格を200円に下げることで、1冊あたりの収益は250円から300円へと20%増収します。これにより、暑さを避けて休むことによる収入減への不安を和らげることができると考えました。
また、希望者全員に熱中症アラートウォッチ(体温や脈拍などを計って、熱中症の危険があるとアラートをならす腕時計)を配布することで、客観的な暑さ指数をもとに自分で判断して販売を止めたり、休んだりすることができるようにしました。

熱中症アラートウォッチ。
仕入れ価格を下げると、ビッグイシュー日本の事業としては減収になります。そこで、この期間、「猛暑を乗り切る3カ月通販(販売者応援3カ月通販)」のキャンペーンをおこない、雑誌発行を支えていただくことを呼びかけています。詳しくは下記の画像をクリックしてください。
通販で得た収益は、販売者がエアコンの効いた個室で体を休めることができるよう、東京都内で新たに開設したシェルターの運営費用にも使わせていただきます。ぜひご協力ください。
枝元なほみさんが始めた「夜のパン屋さん」事業
近年、ビッグイシューは路上での雑誌販売以外の仕事づくりにも力を入れています。
2020年10月、料理研究家の枝元なほみさんが中心となって立ち上げたのは「夜のパン屋さん」です。
「夜のパン屋さん」は、街のパン屋で売れ残りそうな商品を買い取って再販売することで、フードロス対策と生活困窮者の雇用創出を同時に進める事業です。その名の通り、販売は夕方から夜間に行われるので、昼間のビッグイシュー販売と兼ねて仕事をしている人もいます。夜間なので、暑さの影響も受けにくいというメリットもあります。
この事業が始まった2020年は、コロナ禍の初期で在宅ワークへの切り替えが進んだため、街の人通りが減少。路上販売を主とする「ビッグイシュー日本版」の売上が激減して、事業継続が危ぶまれるという緊急事態でした。枝元さんがこのタイミングで、新たな仕事づくりを始めたことに、私は当時、暗闇の中で一筋の光を見出した思いをしたことをよく覚えています。
昨年2月に亡くなられた枝元さんが生活クラブ連合会発行の『生活と自治』に連載していたエッセイがこのたび書籍化されました。
ビッグイシューへの思いや「夜のパン屋さん」を始めた時の話も書かれています。
書籍には私を含む7人の追悼エッセイも収録されています。
ぜひ多くの方に手に取っていただければと思います。
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