「生活保護は権利」を実質的に確立する仕組みづくりを~扶養照会の根本的見直しを求める
生活に困窮した時の最後のセーフティネットである生活保護制度。厚生労働省は2020年に「生活保護の申請は国民の権利」との広報をおこなう特設サイトを開設をしましたが、根強いスティグマや制度的なハードルにより、まだ利用は広がっていません。朝日新聞「論座」サイトに掲載した記事(2023年3月24日)の加筆・修正版です。
稲葉剛
2026.04.15
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突然の怪我や病気で、医者からは数か月間の静養が必要だと言われている。所持金が尽きかけているので、仕事を探しているが、今の自分の体調だと雇ってくれるところがない。生活保護だけは絶対に受けたくないので、何か他の方法があったら教えてほしい。
生活困窮者支援の現場で、このような相談をされる機会が少なくない。そのたびに私たち支援者は、就労が見込めない状況で活用できる制度は生活保護しか存在しないこと、生活保護の利用は権利なので遠慮する必要は全くないことを伝え、「せめて療養期間だけでも一時的に利用しませんか」と説得を試みているが、それが功を奏することは稀である。
病を押して働けば、病状が悪化するのは火を見るよりも明らかだ。民間団体で当面の宿泊費や食費を支援することもできるが、その場しのぎにしかならない。ご本人が生活保護の申請を拒み続ければ、医療にもかかれなくなり、近い将来、生命に関わる事態に陥ることも容易に想像できる。